令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況
令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況 まとめ
① 表面的には「賃上げ率9割超」だが、実質的な格差は拡大
見かけの状況
* 令和7年賃金引上げ企業:91.5%(前年より微増)
* 一見すると「賃上げはほぼ全企業で実施」しているように見える
● 実際の課題
「引き上げたかどうか」だけで、引き上げ幅が示されていない物価上昇率を考慮すると
→ 名目賃金は上昇、実質賃金は維持または低下している可能性が高い
賃上げ“実施率”と生活改善は必ずしも一致していない
② 企業規模による格差が明確(構造問題)
データの示唆
* 5,000人以上企業:賃上げ 98.9%
* 100~299人企業:賃上げ 89.7%
* 改定を実施しない・未定の割合
→ 中小企業ほど高い
問題点
* 中小企業は
* 原材料高
* 価格転嫁の困難
* 人件費原資の不足
* 結果として
「賃上げしたくてもできない」層が固定化
賃上げが「体力のある企業の特権」になりつつある
③ 産業間格差が“人手不足業種ほど深刻”
特に厳しい業種
医療・福祉:賃上げ 84.9%
宿泊・飲食:78.4%
生活関連・娯楽:79.5%
構造的問題
これらは
人手不足が深刻
社会的に不可欠
価格転嫁が困難(公定価格・消費者価格制約)にもかかわらず賃上げ余力が弱い
「社会に必要な仕事ほど賃金が上がりにくい」逆転構造
④ 労働組合の有無による“交渉力格差”
数値差
労働組合あり:賃上げ 95.5%
労働組合なし:90.4%
問題点
組合のない職場では 賃金決定が経営判断に依存 個人交渉が弱い
特に中小企業 × 組合なし→ 二重の不利
日本の賃金構造は、「交渉できる人だけが守られる」構造
⑤ 賃金改定時期の集中が示す「追随型賃上げ」
特徴
多くの企業が1~8月に集中して改定
春闘・世論・他社動向を見て決定
問題点
自社の生産性や人材戦略に基づく賃金設計ではなく
「周囲に合わせざるを得ない賃上げ」
賃金が「戦略」ではなく「防衛策」になっている
⑥ 「未定」が減少=不透明さは減ったが、安心ではない
未定:
令和6年 6.4% → 令和7年 3.9%
一見改善だが「未定→小幅賃上げ」へ移行した可能性 決定は進んだが、生活安定につながったとは限らない
総合的な構造課題(要約)
1. 賃上げ率の高さ=生活改善ではない
2. 企業規模・産業・組合有無で格差が固定化
3. 医療・福祉・サービスなど社会基盤産業が弱い
4. 賃金が“交渉力のある人の報酬”になっている
5. 制度・価格・経営構造が賃上げを阻害
▶ ONE的視点での重要論点
この統計は、「頑張っている企業が多い」ことよりも「構造的に上げられない人・職種・組織が明確に可視化された」点に意味があるのかもしれません。
就労支援・キャリア支援においては
個人努力では超えられない“賃金構造の壁”を前提にした支援設計も不可欠といえそうです。
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